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2013年3月23日 (土)

山崎元 「国債暴落」を個人投資家の立場から考える

元ネタ:「国債暴落」を個人投資家の立場から考える

◆国債と銀行は金融政策の制約か
  • 国債の暴落とは、一般に、「長期金利」と呼ばれることの多い長期国債の利回りが上昇することだ。
  • 国債暴落については、短期的には起こらないだろうが、長期的には起こり得るといった理解を持っておくのが適切だろう。
  • 将来、たとえば物価上昇率が2%で実質経済成長率が2%、即ち名目経済成長率が4%といった望ましい経済状況が達成されると、長期金利は4%程度であっても全くおかしくない。つまり、アベノミクスが十分に目的を達したあかつきには、国債暴落が起こる公算はかなり大きいということになる。
  • 3%の金利上昇ともなると、日本の銀行システムに、20兆円以上の損失効果が発生することになり、中には破綻する銀行があってもおかしくはない。
  • 但し、「景気が良くなって、金利上昇が起こる」ということなので、銀行が保有する株式や不動産の価格も上昇するし、融資先の経営内容の改善や、銀行のビジネス自体の利益拡大にもつながることなので、多くの銀行が破綻するというような事態には至らないだろう。
  • 「銀行破綻を起こさないために、経済を望ましい状態に持っていくことができない」ということなのだとすると、これは本末転倒だ。
  • 民間銀行の経営が、日本経済全体の成否を質に取るようなことがあっては良くない。
  • 十分起こりうる程度の金利変動に対応できない銀行は、あらかじめ何らかの形で整理されるべきだ。また、独自の判断で融資が出来ず、集めた預金の大きな部分を国債運用に回す銀行が、社会的に期待される金融業への役割期待を十分に果たしているともいいがたい。
◆長期金利上昇はどのように起こるか
  • 論理的な可能性は二つある。
  • 一つは、日本の財政全体が信用を失って、国債デフォルトの可能性が長期金利に織り込まれる「信用リスクによる長期金利上昇」である。
  • 日本の財政については、「危機的状況」が喧伝されることが多いが、ユーロ圏の経済危機の深刻化などで市場が「リスク・オフ」に向かった時に、円高になり、日本国債の利回りが低下することから見ると、日本政府の債務に対する世界の金融市場の評価は、現在、相対的に高い状況にあると理解するのが素直な見方だろう。
  • 一般に「政府」というものは長期的に信用できるものではないし、日本政府もその例外ではないと思われるが、インフレ率も成長率も上がらぬまま国債の利回りだけが上昇していくような状況は当面考えにくい。
  • 物価が上がらぬまま長期国債の利回りが上昇するなら、年金基金も保険会社など、長期の負債を抱えている主体は、喜んで国債を買うだろう。
  • もう一つの可能性は、前述のような、景気が回復して物価が上昇するようになった場合の「経済の成功による長期金利上昇」である。
  • 経済成長率が高まって、物価が上昇し、将来の物価上昇を織り込むような形で起こる長期金利の大幅な上昇(即ち国債暴落)は、一気に起こるものではないとしても、向こう数年以内に起こってもおかしくないと筆者は考えている。
◆個人の備え方
  • アベノミクスの初期にあって、経済が望ましい方法に動くためには円安が必要だが、日本の経済が望ましい状況(マイルドなインフレ+高成長)になり、長期金利までが上昇した場合、為替レートは一転して円高に向かう可能性がある。
  • 不動産は、家賃をスピーディーに上げていくことが、好調企業が利益を伸ばすことよりも難しいので、長期金利が上昇する局面では損をする可能性が小さくない。
  • 安全資産の中では、既に低金利でもあり、相変わらず、普通預金、MRF、個人向け国債の10年満期・変動金利型、といいたいところだ。
  • 「10年・変動」の個人向け国債は、将来長期金利が大幅に上昇して、長期国債が暴落するような事態になった場合、二回分の利払いを払って元本で償還できるという強力な「金利上昇への保険」がついている。
  • もっとも、国債暴落が、日本国債のデフォルトリスクを反映したものであり、現実にデフォルトが起こるような状況になれば、個人向け国債も安全な商品とはいえないのは当然のことだ
  • 先にも記したように、「信用リスクによる長期金利上昇」の可能性は、当面、大きなものではないように思われる。

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