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2010年11月

2010年11月30日 (火)

ゼネコン落城 週刊ダイヤモンド 2010/6/5

鹿島建設/アルジェリア高速道路の場合
  • 10年1月の完成予定なのに60%しか完成していない。
  • 相次ぐテロで国家非常事態宣言が続き、資材の調達にも時間がかかっている。
  • 慣れないフランスの高速道路規格での設計が求められている。
  • 砂地のため、トンネルを掘るのも苦戦が強いられる。
  • 鹿島建設は、現在、アルジェリア政府に工期延長、追加工事代金の支払、工事の遅延損害金の減免について交渉している。
  • 治安の悪さ、砂地での難工事が予想されたため、欧米企業は逃げ、最後に鹿島だけが残った。
  • それでも、最初の札から1割のの値引きが要求され、5400億円で受注。
  • 鹿島建設の言い分
    • 『10年3月期でアルジェリアの損失も当然引き当てている』
  • JV参加会社の言い分
    • 『損失額を鹿島が出していないので、決算に盛り込めず困っている。鹿島の事情で出せないのではないか?』
  • 鹿島の格付け:BBB+(格付け投資情報センター)『信用力は十分だが、環境が大きく変化する場合、注意が必要』 スーパーゼネコンで最も低く、三洋電機や西松建設と同じ。
  • 有利子負債は6200億円でトップ(2位の清水は4420億円)。自己資本比率は14.6%で最低。(他社は20%前後)【自己資本比率が低いのは他社に比べ不動産事業の比率が大きいという事情もある】

大成建設/ボスポラス海峡横断鉄道
  • 遺跡の発見や資材価格の高騰で追加コストが発生。
  • トルコ大統領が、大統領令を発して、発注者に支払いを命じて、何とか一息つけるところまで来た。

大成建設/新ドーハ空港
  • 2006年に受注。2009年5月に完成予定だった。
  • 内装はじめ空港のスペックについて発注者からの追加要望が続き、工期は2年延びた。
  • 受注金額:1000億円→1780億円に膨張。その追加分は支払われない可能性がある。
  • 現在、2011年7月の完成が微妙になっている。発注者は「工期を守らなければ、追加工事費は支払わない」と通告されている。
  • 工事代金の支払い交渉が膠着し、海外担当役員が現地に張り付いている。
  • 同業他社の見方:「既に現場は工事を止めるか否かの判断を迫られている状態」
  • 大成建設の言い分:「すでに現在想定できる損失は計上済み。今期の感慨事業は黒字転換する」

海外赤字工事の会計処理
    赤字の発生した工事について、赤字分の支払い要求するレターを発注者に送る。
    たとえ相手先が支払に同意していなくても、【将来支払ってもらえる『未収金』】となる。
  • 資金回収の可能性がゼロではないという理由で、この処理自体は粉飾決算ではない。
  • ゼネコン関係者:「海外の工事の決算をあえて厳しくしようとしたところ、監査法人に止められた。損失が巨額となり、監査法人側の責任も大きくなってしまうからだ。」

なぜ巨額損失が発生するのか?
  • 契約が苦手だから。
    • 国内工事では、口頭確認だけで工事を進めることがままあるが、海外では「口約束が追加発注として認められるケースはまれ」である。
    • 日本勢の多くがFIDIC(国際コンサルティング・エンジニアリング連盟)の「シルバーブック」と呼ばれる約款に基づいて契約を結んでいる。この契約では、工事に変更が出ても、基本的に発注者の追加の支払責任はない。受注者のリスクが大きく、欧米企業は避ける難物なのだが、ボスポラスやドーハなどので採用された模様。
  • 貿易保険を掛けてなかった
    • 貿易保険は、独立行政法人が提供するものであるため、代金回収に国を巻き込める。
    • ゼネコン関係者:「保険料を払うとただでさえ薄い利益が吹き飛ぶ」
    • そもそも、追加工事の債務を認める先方の契約書が無ければ保険金は支払われないから、それ以前の問題である。
  • 採算度外視のライバルへの当てつけだから
    • ボスポラス海峡トンネルを大成が大林よりも500億円安い価格で受注。
    • ⇒破れた大林は、ドバイメトロをメインコントラクターで受注
    • ⇒メインコントラクターを大林に取られた鹿島はアルジェリアをメインコントラクターで受注した。

その他の工事代金未収工事
  • 清水:ドバイのナキール社向け住宅棟。「支払が残っており、回収が長期化する可能性がある」
  • 竹中:ドーハ国際空港ターミナルビル。「完成して2年経つのに代金の支払いが滞っている」

ゼネコン各社のCDS
  • 鹿島建設
  • 大成建設
  • 清水建設
  • 大林組
  • CDSは数字が大きいほど、市場が倒産リスクが大きいと判断していることになる。
  • 現状では、各社のCDSが下がっているため、「市場は倒産リスクは遠のいた」と考えていると理解できる。

各社のリストラの状況(早期退職者募集)
  • 西松建設:600人
  • 五洋建設:220人
  • ハザマ :150人

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2010年11月23日 (火)

イノベーション理論/イノベーションのジレンマ

S字カーブ
  • 【S字カーブ】技術の発展には、「萌芽期」、「発展期」、「成熟期」、「衰退期」に分けられる。1つの技術が衰退期を迎える頃、次の技術が発展期にさしかかり、古い技術を凌駕する。
  • 次のS字カーブに乗り換えるとすれば、いつ・どのように行うのか? すなわち、技術の不連続性をどのようにマネジメントするのかがイノベーション戦略上、重要な意志決定となる
  • S字カーブは次のS字カーブへの乗り換えを教えてくれるわけではない。あくまで乗り換えに当たっての論点を認識し、手を打つ準備をするためのツールと考えるべき。

イノベーションのジレンマ
  • 優良企業は当初、重要顧客のニーズに合致しない技術、ニッチ市場・新市場だけを狙った技術については消極的である。なぜなら、優良企業には合理的かつ分析的な投資の意思決定プロセスが整っているからだ。
  • ハードディスクドライブの業界では、14インチ→8インチ→5.25インチ→3.5インチと世代交代するたびに既存メーカーは競争に敗れた。既存メーカーの顧客はサイズよりのも容量を重視するため、小型化の競争に出遅れてしまうためである。
  • 実際に革新的な技術に乗り換えに成功する確率は3割と言われる。成功できない理由は以下の通り。
    • 新技術を開発する能力がそもそも無い。
    • 組織上、新技術を開発を容認する仕組み・文化がない。
    • 既存技術で成功している企業ほど冒険が難しい。
    • 既存の重要顧客が新技術を歓迎するとは限らない。
  • 「イノベーションのジレンマ」のメッセージ:新市場向けだから、儲かりそうもないから、といって新技術のネタをおろそかにしてはいけない。

優位性の維持方法
  • 特許の取得。一定年数しか維持されない、ライバルにヒントを与える等の問題がある。
  • ブラックボックス化。中核人材の流出、模倣のリスクがある。
  • 他社が追いつこうとしても一歩先を行くことが最も有効な対策。

リードユーザーアプローチ
  • リードユーザーとは将来に主流になるであろうニーズを先取りするような先端的なユーザーをいう。
  • リードユーザーアプローチでは、既存顧客ではなく、リードユーザーにニーズのみならず、どうやって問題を解決しているのかも調査するようにする。

補完資産
  • 技術が成熟期を迎えて差別化が難しくなると、「補完資産」が重要となる。補完資産とは、ブランド力、ノウハウ、顧客との信頼関係などである。
  • 一般に「補完資産」は歴史のある大企業の方が有利であり、ベンチャー企業が技術の成熟期まで優位性を保持できないのは、「補完資産の不足」という問題に直面するからだ。


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2010年11月 8日 (月)

鹿島 アルジェリア 週刊文春 10/9/23

概要
  • アルジェリアの地中海側を東西に1200km走る高速道路の建設プロジェクトで、発注者はアルジェリアの公共事業省。
  • 東側の400kmを鹿島建設、大成建設、西松建設、間組、伊藤忠商事の企業連合が5400億円で受注した。
  • この金額は「日本企業による海外大型工事で大損失を生んだドバイの鉄道工事の倍」にあたる。
  • 工期の期限は当初2010年の1月末の予定であり、8月22日まで延長されたが、未だに完成していないため、1日あたり4000万円の違約金が発生している。

工事が難航している理由
  • 当初の契約になかった追加工事が増えたことで時間と金がかかった。しかも追加の工事代金はアルジェリアが支払わない。
  • 予想以上に崩れやすい気質でトンネルを掘るにも想定以上のコストがかかる。

対策
  • 6月11日、鹿島建設の赤坂別館の会議室で、鹿島、大成、西松、間、伊藤忠の幹部20人が対策を検討。
  • 鹿島顧問の谷内正太郎元外務次官がアルジェリアへ渡り、現地大臣と会談。
  • 鹿島の梅田貞夫会長も現地に乗り込んだ。
  • 結局、交渉は進まず、8月22日の期限を過ぎる。

工事を完成させた場合
  • 赤字が1兆円規模になる見通し。
  • 完成するまでにあと1年以上はかかる。

工事を中断した場合
  • 約4000億円の損失+決着がつくまで1日あたり4000万円の違約金

現状
  • 現地政府と撤退を前提として話し合い。ただし、現地政府は未完のまま簡単には撤退させず、交渉は膠着状態。
  • 既に日本人以外の作業員は家に帰している。
  • 方針が決まるまでは、大きな作業は無し。作業員は時間をつぶして待っている状態。
  • アルカイダによるテロや住民の暴動も起きている。


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