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2010年5月13日 (木)

週刊ダイヤモンド アップル 丸かじり 10/05/15

西和彦 アップルを語る
  • iPadの本質は、「大きな画面でビデオが見られること」にある。
  • 私は、20世紀の5大メディアは、「郵便、通信(音声の電話)、出版、新聞、放送」だと考えている。
  • そこにインターネットが登場して、徐々にそれらをのみ込んでいった。しかも、携帯端末でメディア機能を楽しめるようになった。とりわけ、iPhoneやiPod touchは革新的な端末だった。
  • だが、これらはやはり音声、オーディオ向けの製品だ。動画を手軽に取り出して楽しむというサービスは誰も実現できていなかった。
  • iPhoneでは小さくノートパソコンでは大きい。そこにぴたりとはまるように、iPadが登場した。
  • グーグルをアップルのライバルと見る向きもあるが、それは間違っている。グーグルは「情報は無料」というウェブの常識に立脚しているが、アップルは違う。アマゾンと同じ、有料モデルの世界に住んでいる。
  • こうした背景から考えれば、iPadの次に登場する端末は二つある。iPadより小さい文庫やペーパーサイズの端末と、iPadより少し大きく、新聞や雑誌に適したA4判サイズの端末だ。
  • アップルは、それまで違法に無料でダウンロードされていたインターネットの音楽の世界に突如、iTunesという有料モデルを持ち込んだ。アプリにしても有料モデルで成功している。
  • アップルの最大の功績は、「それまでタダだったものから、おカネを取ったこと」にある。
  • iPadはビデオにぴったりの端末で、特にYouTubeとの相性は抜群だ。YouTubeを見たいから買うという人もいるだろう。
  • アップルは、ビデオを見る端末としてiPadを普及させておいて、そこに有料のビデオ販売モデルを持ち込むだろう。きっと、フリーモデルの威を借りてiPadが普及した後に、有料で質の高いビデオ販売に力を入れるだろう。アップルがすごいのはそこだ。
  • アップルはパーソナルコンピュータ市場では、10%のシェアに甘んじている。アップルはデザインコンシャスで、PCはコストコンシャスだ。「安いものでもいい」というユーザーは、PCを選ぶだろう。だが、iPhoneとiPadは、10%と90%というシェアをひっくり返すほどの実力を秘めている。
  • iPhoneとiPadは、今後、急速に普及するだろう。まさしく、電話やテレビに近いプラットフォームになるのだ。

VS. マイクロソフト
  • アップル創業者のスティーブ・ジョブズとマイクロソフト創業者のビル・ゲイツが宿命のライバルだったことは、よく知られている。
  • 2人の生まれた年は同じ1955年。マイクロソフトは75年に、アップルは76年に創業している。
  • 当初、ゲイツは自社ソフトをアップル製品向けに開発するなど、両社は協業関係にあった。
  • ところが、83年にファイルをウィンドウ形式で表示した「Windows 1.0」を発表すると、ジョブズは自身のアイディアを盗用されたと激怒する。このあたりから、今に続くOSのシェア獲得競争が始まったのだった。
  • ゲイツが順調に業況を拡大し続ける一方、ジョブズはアップルを追われた。アップルに復帰したジョブズが行ったのは、なんと宿敵マイクロソフトとの提携だった。苦境を支えてきたアップルファンのなかには、アップルがマイクロソフトの軍門に下ったかと、失望した者も多かった。しかし、現在の成功を見れば、ジョブズの考えは間違っていなかったといえるだろう。
  • もはや主戦場はモバイル分野に移っている。アップルがiPhoneや「iTunes」で実現したようなビジネスモデルに対抗する商品やサービスを、マイクロソフトはここで打ち出せていない。
  • いまやゲイツは引退し、アップルの時価総額(S&P500株価指数)は瞬間風速で、マイクロソフトを上回った。
  • パソコンOSのシェアでも巻き返す可能性がある。なぜなら、iPhoneやiPadを購入しアップルのクールさと快適さを実感したユーザーは、パソコンを買い替える際に、Mac製品を有力候補に入れるからだ。

VS. グーグル
  • グーグルとアップルは当初、競合するどころか、補完関係にあった。マイクロソフトが両社の得意分野に進出しないために、両社がタッグを組めば最高のコンビになるという評がもっぱらだった。事実、シュミットは06年にアップルの取締役に就任している。
  • ところが、07年にグーグルがAndroidを無償公開した頃から、すきま風が吹き始める。
  • グーグルはこれを開発し、携帯電話メーカーに無償で供与し始めた。携帯電話メーカーにとって、これらの開発は重荷となっているから、願ってもいない福音だった。グーグルのメリットも大きい。たとえば、Androidが搭載されている携帯電話の検索エンジンには最初からグーグルが設定される。Android端末が増えれば、グーグルが広告を提示するプラットフォーム、メディアが増えるのだ。
  • しかし、Androidが握ろうとしている分野は、まさにiPhoneが築き上げたものである。ジョブズが怒り心頭に発するのも無理はなかった。09年、シュミットはアップルの取締役を辞任した。しかも、グーグルが得意分野に侵攻してきたことへの意趣返しのように、2010年4月、アップルは新たな広告戦略を打ち出した。iPhoneの最新OS4では、「iAd」という広告プラットフォームが提供される予定だ。

VS. アドビ
  • インターネット上でアニメーションを表示する技術の一つに米アドビが開発した「Flash」がある。パソコンで見るインターネットのウェブページの表現を豊かにしたければ、Flashを使うことは半ば常識となっている。
  • ところが、ジョブズはFlashには不具合が多く端末の動作が遅くなると断じ、それを公言。iPhoneやiPadでいっさいFlashを見られないようにした。
  •  露骨なアドビはずしに、アドビ側は訴訟の準備すらしているとうわさされ、開発担当の責任者は、今後はグーグルとの関係を強めるとメディアに語っている。


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